救急車って、乗ったことありますか?
私は患者として1回、付き添いとして20回くらいあります。
どちらにしろ、とても辛い経験でした。
病人本人は勿論、苦しい、痛い、が半端じゃない状態。
普通にタクシーなんかでは無理で間に合わない訳ですから、
そうなると、付き添う人も「病院に着くまでにどうにかなってしまうんじゃ」と
大変な不安に押し潰されそうになりながら、泣きそうになりながら乗っているのです。
私は、救急車の音が聴こえるだけで、耳を塞ぎたくなるくらい辛い時期がありました。
その救急車が、昨日の夜、私の家のすぐ近くに停まりました。
斜め向かいのKさんか、お隣のTさんのところで何かあったのでしょう。
ああ、どんなことが起きているのだろう。どなたがどうなってしまったのかしら。
しかも、なかなか出発しません。
そういう時はいくつか理由が考えられるのですが、どれも良い兆候ではありません。
よその家のこととは言え、胸が苦しくなるくらい気掛かりで、
やっと救急車が走り出したときは、ほんのちょっとホッとしましたが、
私は知っています、病院に着くまでが次なるハードルで、
病院に着いてからは、辛い病人〔怪我人〕がいくつか検査を受けなくてはならない、
と言う更なるハードルがあり、しかも治療が始まっても状態が落ち着くまで、
結構な時間が掛かる、と言う、更に次のハードルが待っていることを。
色々思い出してなかなか寝付けずにいると、真夜中を大分過ぎてから
1台のタクシーが停まりました。そう、家族の方が帰ってきたのです。
さぞ疲れたことでしょうし、そもそも大丈夫だったのだろうか。
今のところ詳しい事情はわかりませんが、
大事ではないよう祈るばかりです。
母が亡くなってから8年余り。
救急車を呼ぶ必要の無い日々が続いています。
まるでそれが当たり前のような感覚になり始めていましたが、
改めて痛感しました。それって、なんて有り難いことなんだろう、と。
当たり前、と思っていることが、実は奇跡のように幸せなことだ、
と言うのは、よくあることです。これも気付かないと勿体無いですよね。